開智国際大学紀要
Online ISSN : 2433-4618
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マレーシアにおけるインド人のエスニシティ形成
古賀 万由里
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2022 年 21 巻 2 号 p. 83-96

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抄録
マレーシアのエスニシティについて語る際、「マレー人」、「華人」、「インド人」という分類がよくなされる。これは政府が政策上分けたものであり、フォーマル・エスニシティといえる。インド人コミュニティは、出身地別、宗教別、カースト別に細分化されており、多数のサブ・エスニック集団が存在する。代表的な事例として、タミル人、テルグ人、マラヤーリ人、スリランカ・タミル人、ヒンドゥー教徒、ムスリム、シーク教徒、チェッティアールとサービス・カーストをとりあげた。結論として、マレーシア全体のエスニシティは、1)マレーシア人であるというナショナル・エスニシティ、2)インド人であるというフォーマル・エスニシティ、3)タミル人やテルグ人といった文化エスニシティから構成されるといえる。誰しもが二重、三重のエスニシティを持っている中で、時と場に応じてエスニシティが揺れ動いている。またエスニシティの複雑性は、各々の文化維持を可能にしているのと同時に、インド人として団結できない要因となっている。
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