2024 年 23 巻 p. 99-108
第二言語習得において、多読は語彙習得および読解力養成に効果的とされている。これに加えて、読解過程にリスニングによる音声入力を施すこと(RWLあるいはE-RWL)が、さらに効果的であるとする研究成果が多数報告されている。これらの成果報告を吟味すると、研究の場によって成果に幅があることが分かる。RWLにおいては、学習者は読解テクストから入力される内在的音声、あるいは内面における音声の入力情報を処理すると同時に、リスニングによる音声入力を処理しなければならず、このことが有効に作用する場合もあれば、不利に働く場合もある。学習者にとって、リスニングの音声入力の速度を調節できると、RWLを有効に活用することができる。また、リスニング力は内在的音声あるいは内面における音声を確立する基盤になるので、一層の重要性を持つと考えられる。