抄録
本研究では,2010年~2013年に現地観測を実施し,それらを統計解析することにより,国内の様々な浅海域生態系(亜寒帯~温帯~亜熱帯の海草場,干潟,サンゴ礁)における海水中CO2分圧の現況を推定することを目的とした.まず,取得データの構造を把握するために,変数間の関係性(散布行列,相関など)について整理した.次に,海水中CO2分圧に及ぼす水温,塩分,生物過程による炭素増減量(ΔDIC),石灰化によるアルカリ度増減量(ΔTA),観測場所,生態系タイプといった影響要因を用いて,浅海域生態系における海水中CO2分圧の統一的な推定式(一般化線形モデル)を構築した.感度分析の結果,生物活動自体を示す指標(ΔDIC,ΔTA)が非常に重要な影響要因であることがわかった.