抄録
2012年3月に竣工した「尼崎運河水質浄化施設」は,優占生物(藻類,付着性二枚貝)を利用した水質浄化システムを市民協働により運用するユニークな施設である.本研究では,市民協働に参与し,本施設設置による効果を水質浄化量,活動意欲,生態系サービスの視点から評価した.その結果,2013年夏季には本施設の水質浄化機能は69%の窒素除去率を示した.また現地実験により水質浄化機能向上に向け栄養塩回収水路の流速を変更することにより藻類量が約37%増加し,さらなる浄化量の増加が期待できることがわかった.市民協働の参加者に対し実施したアンケート調査から,環境活動への参加意欲は,受動型の活動よりも自主検討型の活動の方が,今後の活動参加意欲が高いことが示唆された.本施設によりハードとソフトの融合により多くの生態系サービスが創出されたことが明らかとなった.