2015 年 71 巻 2 号 p. I_1651-I_1656
沿岸域における従来の経済評価では,港湾施設や海岸保全施設などの人工構造物と自然生態系のどちらか一方のみが対象とされてきた.本研究では,海岸保護機能と港湾機能について,潮間帯から護岸までの地形を包括的に捉え,定量評価する手法を考案した.定量評価手法は,海洋健全度指数(OHI)の考え方を参考に,現在の状態のみならず,持続可能性も考慮したモデル構造とした.海岸保護は,波浪低減,浸水防止の2つの項目により評価し,それぞれ波浪エネルギー低減比,相対打ち上げ高を指標とした.港湾機能は,護岸際における満潮時水深に係留施設の有無などによる重み係数を考慮した指標とした.考案した評価手法を,東京湾内の4つの自然・人工干潟へ適用し,干潟間の比較を行った結果,各干潟の地形的な構造による機能が定量的に示された.