抄録
伊勢湾台風を対象に,最新の全球再解析気象データJRA55を用いたWRFによるダウンスケール実験を行った.伊勢湾台風が発生した1959年を含む全球気象データは限られており,その再現性は低いことが知られている.そこで,5種の全球気象データから伊勢湾台風を抽出,比較して,JRA55の再現性の高さを示した.また,高潮追算の外力である海面気圧及び海上風を高解像度で計算するための領域気象モデルの台風経路から計算領域端までの幅と水平解像度について手法の検討を行った.計算領域サイズの設定は,台風経路と台風強度の両者に影響し,領域を広く設定するほど台風経路は誤差が大きく,台風強度は強く推定された.水平解像度の違いは台風経路への影響が小さく,高解像度ほど台風強度を強く推定することがわかった.以上の結果を踏まえて,高潮推算における領域気象モデルの検討手順を示した.