2015 年 71 巻 2 号 p. I_745-I_750
鹿児島県沿岸域では,建設骨材用に海砂採取を行っている.一例として,鹿児島湾内の南大隅町大浜海域でも,沿岸環境への影響を最小化するために,採取海域をずらしながら海砂採取を継続している.本海域では,海砂採取の影響で,隣接する大浜海岸の侵食が生じているのではないかとの意見が地域住民から近年示された.そこで,本研究では,主に当該海域での海砂採取水深が適切であるかを判断するために,現場海域における底質特性と移動限界水深に関して現地調査と試算を行った.加えて,底質移動の外力となる不規則波浪場の変形計算,および,特異な海浜変形が生じていないか確認するための縦断面形状変形に関する数値計算を行った.その結果,南大隅町大浜海浜に関しては,沖合海域で実施されている海砂採取の影響が基本的に及んでいない事が確認された.