2017 年 73 巻 2 号 p. I_1063-I_1068
津波越流による海岸堤防の破堤は,主に堤体の法肩および法尻部で生じる洗掘に起因することが知られている.津波越流に対する海岸堤防の粘り強さ向上を目的として,堤体法肩部の浸食を抑制するための堰型対策工を提案し,同対策工による堤体の浸食抑制効果について縮尺1/50の移動床水理模型実験により検討した.その結果,提案した堰型対策工により堤体の浸食が抑制されることを確認した.ただし,対策工高が大きいと,堤体の浸食を助長する場合があることも分かった.また,固定床実験の結果から,対策工に作用する流体力は,越流時の対策工位置水位から静水圧分布を仮定して求めた流体力の約1.3倍であることが分かった.