2017 年 73 巻 2 号 p. I_1129-I_1134
東日本大震災での津波によって多くの混成防波堤にも被害が発生した.各地で混成防波堤の補強が検討されており,その代表的な補強方法の1つがケーソン背後に石を積み上げる方法である.積み上げた石材からの反力で滑動安定性を高め,石材の重量やせん断抵抗力によって支持力破壊に対する安定性を高められる.ただし,その効果を定量的に評価する方法は十分には確立されておらず,本研究では,遠心力場で防波堤の前後に水位差を発生させる実験を実施すると共に,円弧すべり解析を利用した安定性評価を行い,その精度を検証した.実験では,腹付工が小さいか,腹付工を有しないケースにおいて,ケーソン前後の水位差で支持力破壊が発生した.解析では,滑動,転倒,支持力の耐力作用比を求め,その値は実験結果を適切に評価できることを示した.