2017 年 73 巻 2 号 p. I_1135-I_1140
本研究では,波による残留水圧蓄積による液状化と海底に埋設されたパイプラインの浮上との関わりを砂地盤―パイプ系の波浪実験により詳しく調べている.実験は遠心力場70g場で行い,粘性スケーリングの導入により,力学的相似性に加えて波浪載荷と地盤内の残留水圧蓄積に関する時間相似側を同時に満足したかたちで実施した.本論文では規則波と不規則波の2ケースの実験結果を示している.規則波実験の結果,波浪作用により埋設パイプ上端付近の地盤が液状化するとパイプが動き出すこと,波浪載荷の継続により液状化領域が進展し,それに伴いパイプが著しく上昇すること,さらに,最後は地表まで達することが得られた.不規則波浪でも,規則波の場合と同様に,地盤液状化が発生し,パイプの上昇がおこり地表面に達することを示し,波による液状化の進展とパイプライン挙動の関わりを明らかにした.