2017 年 73 巻 2 号 p. I_1489-I_1494
日本海沿岸における津波被害対策が太平洋側に比べて検討が不足している.日本海側で生じる断層型地震は発生機構が複雑であるため不確実性が大きく,沿岸砂丘の発達など海岸地形にも違いがあるため太平洋側とは被災特性が異なるものと考えられる.本研究では,日本海沿岸北部の港湾都市を対象に,不確実性を考慮した津波ハザード評価を通して被災特性を分析した.その結果,波源パラメータの大きな偏差を考慮した場合においても沿岸砂丘は高い津波遮蔽効果を有し,浸水被害に対しては港湾泊地周辺や小規模河川沿いの低平地が脆弱であることが明らかとなった.また,既存の港湾防波堤にも津波遮蔽効果が認めれ,津波への耐性を持たせることで後背地の浸水被害低減が期待できることを示した.