土木学会論文集B2(海岸工学)
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論文
東日本大震災発生前における津波碑に対する岩手県陸前高田市の住民の認知・認識
佐藤 翔輔平川 雄太白幡 勝美今村 文彦
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2017 年 73 巻 2 号 p. I_1537-I_1542

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抄録
 本稿では岩手県陸前高田市の住民を対象とした質問紙調査を実施することで,東日本大震災発生前における津波碑の認知・認識状況を把握し,その特性および課題を定量的に明らかにした.その結果,以下4つの主要な結論が得られた.1) 回答者全体の津波碑の認知度は35.0%に留まっており,町・大字単位ごとに認知度は大きく異なっていた.2) 地域住民の津波碑の存在認知には,津波碑の建立場所と形状が特に大きく影響する要素である.3) 津波碑の存在を認知している人でも,碑文内容を覚えているのは4割以下であり,津波碑を通じて具体的な教訓を後世に伝えるには限界がある.4) 津波碑が過去の津波災害に関連するものであることを認識するのは子ども世代にとっては難しく,さらに年齢が若い世代ほど日常生活上の津波碑との関わりが希薄であった.
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© 2017 公益社団法人 土木学会
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