0°~360°のcyclicな資料を取り扱うために展開されている方向(円周)統計学を利用して,わが国の沿岸と沖合の43地点における最長12年間の1~2時間間隔推算・観測波向資料に対する通常解析および円周解析を行い,つぎの成果を得た.1) 円周解析に基づく平均値を補助資料として扱う通常解析1とこれをそのまま用いる通常解析2によれば,推算値および観測値について波向資料の平均値のみならず標準偏差,skewness,kurtosisに対して低次統計量ほど円周解析に基づく値に近い値が得られる.2) 上記の結果は推算値と観測値の相関係数や推算値と観測値の差である誤差についての各統計量に対しても成り立つ.3) いずれの解析によっても,波向の平均値についての誤差がほぼ全対象地点で±10°以内に納まることから,推算値の精度はかなり高い.