抄録
港湾の技術基準では「発生頻度が高いもの」と「最大クラス」の二段階の津波で検討することになった.一方,高潮は「既往最高潮位」または「朔望平均満潮位に伊勢湾台風クラスの台風による高潮偏差を加えた潮位」,波浪は「50年確率波」または「100年確率波」で,それぞれ検討している状況にある.本研究では,最大クラスの台風による高潮・波浪を設計の実務に導入するための事前検討として,まず,モデル港湾に対して,最大クラスのシナリオ台風を仮定して高潮・波浪を推算し,外郭施設(防波堤,防潮堤等)の偶発作用としての高潮・潮位条件を設定する具体例を示す.続いて,防潮堤・防波堤の補強の実現性について述べるとともに,モデル防波堤のケーソン滑動についてシナリオに沿った耐力作用比の試算を行う.