2017 年 73 巻 2 号 p. I_259-I_264
2008年にベンガル湾で発生したサイクロン・ナルギスは,死者・行方不明者約14万人というミャンマー史上最悪の高潮災害を引き起こした.その一方で,ミャンマーではこの様な大規模な高潮災害の経験は少なく,その発生頻度を推定することは困難である.さらに,ミャンマー,バゴー市の南部には水路網の発達した穀倉地帯が広がっており,高潮がこの水路を遡上して氾濫することによって,浸水被害が内陸へと拡大することが考えられる.本研究では確率台風モデルを用いて長期のサイクロンデータを生成し高潮計算を行うことでその発生頻度を推定し,さらに氾濫解析では水路網の遡上の再現を試み,その高潮氾濫災害への影響を検証する.