土木学会論文集B2(海岸工学)
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論文
海岸林の空間的設計手法の提案-宮城県岩沼市を対象として-
大平 浩之山下 啓林 晃大今村 文彦
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2017 年 73 巻 2 号 p. I_397-I_402

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抄録

 津波による建物被害または人的被害を軽減するための効果的な海岸林の空間的設計手法を提案した.本手法では,津波の局所的な集中や樹木の倒伏を回避し,且つ,建物被害を所定の目標値以下に抑えるための,または,避難時間確保に効果的な海岸林条件を,理想地形を対象とした数値解析によって効率的に選択する.まず,海岸林の面的分布に関して,林帯が局所的に薄い背後地では津波が集中しやすく,逆に厚い背後地では減災効果が増大することがわかった.次に,本手法を宮城県岩沼市に適用して,建物被害軽減を目的とした海岸林整備を想定したところ,海岸林が目標通りの減災効果を発揮することを数値的に実証できた.更に,海岸林による津波到達時間の遅延効果を避難可能延長距離に換算することにより,海岸林が有する人的被害の軽減効果を定量化した.

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© 2017 公益社団法人 土木学会
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