抄録
底質移動機構の解明に関し,筆者らは2014,2015年度に蛍光砂を用いた高波浪時の底質の岸沖・鉛直方向移動動態を示した.しかし,堆積性波浪時における遡上帯から砕波帯内外一帯を研究対象領域とした移動動態については検討の余地がある.そこで本研究では,蛍光砂の投入とコア採取等により,堆積性波浪時における底質の岸沖・鉛直方向移動動態の解明を目的とした現地観測を実施した.その結果,堆積性波浪時,バーより沖側の砂は掃流漂砂として徐々に岸向きに移動し,一方,砕波帯内の底質移動は岸向きが主方向であるがトラフ沖側端まで拡散することがわかった.加えて,堆積性波浪時においてもトラフ,およびバー頂部付近では沿岸流速が大きく,この領域を挟んだ岸側と沖側とでは砂の移動動態が異なることが示された.