2017 年 73 巻 2 号 p. I_955-I_960
置き鋼板セルは中詰完了後に強固な構造体となるが,セルの直径に対して部材厚が薄く,海底地盤に設置されるため,中詰めを行うまでは不安定な状態となる.本研究では中詰めを行う前を対象とし,耐波浪安定性とその挙動について検討した.水理模型実験により,波力軌道が真円に近いときは鋼板セルの回転方向が波力軌跡方向と一致することがわかった.また,CADMAS-SURF/3Dを用いた数値計算により,セルに作用する波力を評価したところ,実験結果とおおよそ一致することがわかった.実際の工事ではセルの回転と移動を抑制するために既設セルからワイヤーを展張している.ワイヤーに作用する張力について,現地観測および水理模型実験を用いて評価したところ,セルの動揺と移動による二つの成分があることや周期に対応して最大発生張力が大きくなることなどがわかった.