2018 年 74 巻 2 号 p. I_1399-I_1404
外洋性港湾にて発生する長周期波による係留問題について,関連研究が実施されて約20年が経過するが,その運用状況について全国規模でのアンケートおよび現地調査を実施した.この結果,財政事情の厳しさ等もあり,対策工が実現した港湾は少ない.この中でも太平洋に面した港湾の石炭船バースを対象に港内外の長周期波を含めた波浪条件をデータ分析し,港内静穏度の指標である港内有義波が閾値内であっても必ずしも長周期波は閾値内に収まっていない.現状では波浪予報にて長周期波の状況を予測,沖待ちを含めた対応を取っているが,予報が的中しない状況を想定したセーフティネット,沖待ちを減少させることを目指した係留システムの増強による緊急安全システムをシミュレーション結果より提案する.対策工ごとの必要投資額とその費用対効果も同時に評価することで,実現可能性も高めることが期待される.