土木学会論文集B2(海岸工学)
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論文
乱流モデルを用いた津波伝播の数値計算
沓澤 佑樹Nguyen Xuan TINH渡辺 一也田中 仁
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2018 年 74 巻 2 号 p. I_163-I_168

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抄録

 通常,津波の数値計算には浅水流方程式が用いられる.このため,津波に伴う流速場の鉛直方向の分布について議論することは出来ない.速度分布は底面せん断力と結びついており,精緻な地形変化予測のためにも,津波の下での底面境界層に関する検討が求められる.ここでは,東日本大震災津波を対象として,乱流モデルを用いた津波伝播の断面二次元計算を実施した.数値計算においては,通常の定常流抵抗則を用いた計算も行い,旧来の手法との比較も行った.その結果,流速分布の形状は定常開水路流れのものとは大きく異なっており,通常の波動境界層のそれに類似したものであった.そして底面せん断力の計算結果は,主に押し波時において境界層内の流速分布を加味した計算結果に比べ定常流抵抗則を用いた計算結果は小さい値を示した.

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