抄録
本研究ではPCマクラギの再利用に向けてPCマクラギを命山の基部に再利用することを想定し,水理模型実験よりPCマクラギの耐津波安定性を考究した.その結果,PCマクラギの被災形態は3種類(下層付近,上層付近,全体)に分類され,PCマクラギの設置段数が低いほど上層付近が,設置段数が高いほど下層付近の被災が生じやすいことが判明した.PCマクラギに作用する波圧は,遡上津波到達時に発生する衝撃波圧成分が水位上昇によって発生する重複波圧成分より支配的であり,下層付近で被災する場合は下層部の広い範囲で大きな波圧が生じる傾向があった.また,PCマクラギの設置段数を多くすると,津波に対して安定性は向上する結果より,PCマクラギの耐津波対策としての命山基部への再利用が期待される.