2018 年 74 巻 2 号 p. I_307-I_312
防波堤の耐津波に対する設計法を確立する上では,防波堤の津波作用時の倒壊に至るまでの進行性破壊メカニズムを明確にする必要がある.近年では粒子法などの普及により,地盤の変形までを考慮した津波作用時の挙動把握が可能となっている.しかしながら,変形解析では滑動,転倒,支持力破壊などが混在した挙動を示すため,進行性破壊がどのように進展するのかを把握することが難しい.そこで,本研究では,基礎的な挙動特性把握を行うことを目的として,CADMAS-SURF(ver. 5.1)によって算出した津波波力及び揚圧力を用い,防波堤のマウンドへの貫入を考慮した運動方程式,角運動方程式により津波作用時の防波堤の滑動量,転倒角を把握した.また,防波堤底面からマウンドへ作用する端趾圧による支持力破壊についても検討を行った.この結果,津波作用を受ける防波堤は滑動,支持力破壊,転倒の順に破壊が進行することを定量的に示すことができた.また,場合によっては滑動が生起する前に支持力破壊が生じる可能性があることも確認された.