抄録
東北地方太平洋沖地震と津波により砂浜が消失した岩手県大槌町の浪板海岸において,夏期・秋期・冬期の現地観測(波浪・流況観測,底質・砂面変動など)を実施し,その結果を踏まえた海浜変形シミュレーションにより,砂浜再生の可能性を検討した.その結果,浪板海岸は,(1)夏期は堆積性で秋期は高波浪時に侵食されるがその後回復しており侵食性の海岸ではないこと,(2)現況地形の海浜変形シミュレーションの結果,砂は汀線から水深15m付近の間で移動を繰り返していること,(3)震災前の砂浜と同程度の形状まで養浜した場合の海浜変形シミュレーションを行った結果,沖側への砂の流出は少なく,汀線付近は堆積傾向にあることなどから,養浜により同海岸の砂浜再生の可能性は高いものと推察された.