2019 年 75 巻 2 号 p. I_349-I_354
海底地すべり津波の観測データ同化手法による即時予測を行うために,非線形長波理論を用いたアンサンブルカルマンスムーザーを導入し,その予測精度を検証した.その結果,日本海溝のS-net観測点で線形長波理論を用いた場合とほぼ同程度の予測精度が得られることがわかった.
また観測点およびアンサンブルメンバーを変化させた場合,予測精度にどのような影響があるのかを調べた.観測点を琉球海溝沿いに並列で5個ずつ設置させた場合,沖合に設置した5個の観測点を用いると,10個全部用いた場合と比べてほとんど予測精度は変わらなかった.よって設置するなら沖合を優先した方が高い精度が得られる.アンサンブルメンバーについては,東西方向に摂動した場合と南北方向に摂動した場合を比較したが,東西方向に摂動した場合の方が予測精度が高かった.