2019 年 75 巻 2 号 p. I_61-I_66
Feddersenらによって提案された表層乱流混合フラックスについてのバルク式におけるTKE flux係数αは海洋表層混合の計算において非常に重要である.観測された海象データをデータ解析することによって,海洋の表層混合のパラメタリゼーションを行った.観測データから得られたTKE flux係数αは,風向と波向との関係への依存性,さらに風向と波向が近い場合には弱い波形勾配に対する依存性が確認できた.最適化されたバルク式を用いて2013年の台風Haiyanの推算を行い,海面応答の解析を実施した.解析結果から,表層TKEの空間分布に差がみられ,台風特性にも影響がみられた.これらのことから,大気・海洋結合モデルにおける表層混合過程において波浪依存性が重要であることが示された.