2019 年 75 巻 2 号 p. I_7-I_12
本研究は,段波による底面せん断応力の評価を行うため,ドライな状態の斜面とそれに続く水平床上を進む段波を発生させ,PIV計測による段波先端部の流速場について検討した.各時刻における同じ高さの流速ベクトルに対し流速の波数スペクトルを求め,それに基づいて空間平均幅を設定し,空間平均水平流速およびレイノルズ応力の鉛直分布について示した.その結果,底面から約2mm程度まで底面の影響を強く受ける層が存在することを明らかにした.摩擦速度によって求められた底面せん断応力は,マニング式によるそれと同程度であるものの時間的な変動が大きいことがわかった.これらの変動は水面勾配との相関が認められ,底面せん断応力が局所的な水面勾配の影響を強く受けていることが示唆された.