2019 年 75 巻 2 号 p. I_781-I_786
海上工事において作業区域内の静穏度を一定の範囲内に保つことを目的として,貯水部を備えたH型断面の浮体構造の仮設式波除堤が提案されている.本研究では,この仮設式波除堤の波高低減効果と動揺特性を水理実験により検討した.その結果,波形勾配や相対波除堤幅の増加とともに透過率が低下すること,波形勾配が小さいときは波除堤内部の注水深を大きくした方が透過率を小さく抑えられる可能性があることを確認した.また,相対波除堤幅の増加とともにHeave極大からSway極大までの時間差も大きくなりHeaveとSwayが逆位相に近づくために,上述したように透過率が減少することが明らかとなった.HeaveとRollはそれぞれの固有振動数付近で同調現象が生じ全振幅が大きくなること,波除堤内部への注水にはRollの全振幅を小さくする効果があることが判明した.