2019 年 75 巻 2 号 p. I_859-I_864
近年増加する自然災害において,複数種類の災害が同時もしくは同時期に発生する複合災害,特に地震と津波の複合災害が多く発生している.一方,海岸堤防(防潮堤)は設計外力として地震,津波を別々に扱い,地震と津波が連続して発生する状況は想定されていない.本研究では,地震・津波複合災害における海岸堤防の耐災害性を検討することを目的とする.ここでは,粘り強い構造として現地施工されている三面コンクリート張りのアーマレビー型海岸堤防を対象とし地震・津波複合災害実験を行った.その結果,アーマレビー型堤防は,加振時に表・裏のり肩,のり尻にて隙間の発生や被覆工下のフィルター層の変形が見られた.その後の津波越流時では,加振時に生じた変形箇所から堤体の侵食が発生し,複合災害の影響によりアーマレビー型堤防の耐災害性が低下した.