2019 年 75 巻 2 号 p. I_865-I_870
今後起こり得る津波災害による鉄道構造物の津波被害を低減するためには,個々の構造物のリスクを簡易に判定し,津波対策が必要な場合はその対策を講じることが重要である.本研究では,予測される浸水深から鉄道構造物の被害率を簡易に評価することを目的に,東日本大震災における鉄道構造物の津波被害と浸水深をGIS上で統合し,従来建築物等を対象に構築されてきた被害関数を鉄道構造物について構築した.その結果,鉄道構造物を対象とした津波被害関数は,構造種別毎に異なる特徴を有することがわかった.構築した被害関数と浸水深の数値解析結果を用いて,津波ハザードマップを作成した結果,2011年東北地方太平洋沖地震に伴う津波による鉄道構造物の被害を適切に評価できることを確認した.