2020 年 76 巻 2 号 p. I_235-I_240
気候変動による極端現象の強化に伴う寄り回り波の災害リスクの増大が懸念される.低頻度高波の統計的評価が重要であり,それには長期の波浪データが必要とされる.しかし,富山湾沿岸において波浪推算モデルによる高波浪の再現は難しい現状にある.著者らはニューラルネットワーク(NN)を用いた富山湾沿岸波浪推算モデルを構築してきたが,低気圧特性に応じた適用性に課題があった.本研究では,教師データの多時刻学習やアンサンブル学習のうちスタッキングを取り入れたNNの統合を行い,汎用性の高い推算モデルを構築し,観測データのない過去波浪の推算と低頻度波浪の統計的評価を行う.その結果,汎用的で高精度なNNを構築し,富山湾の低頻度波浪の統計的評価では観測期間に極端現象を十分に取り込む必要があることを明らかにした.