2020 年 76 巻 2 号 p. I_241-I_246
船舶航行時に,最適航路を使用することでCO2削減効果が報告されており,数時間先までの船舶周辺の波浪場を精度よく予測することが重要となる.船舶周辺の波浪場のような局所的かつ,短期的な予測精度を向上させるためには,船舶観測データを随時用いて予測値を修正するような仕組みが必要となる.そこで本研究では,逐次データ同化手法の一つであるEnKFを波浪推算モデルに導入し,精度向上を図った.結果,船舶観測データを用いることにより、10%の推算精度向上とEnKFの有用性が示された.また,沿岸部での波浪推算精度の向上,観測点の増加による海上全体の精度向上を図るため,NOWPHAS波浪観測データを併用し観測データを増やすことで,データ同化前の有義波高の推算精度と比較して,最大で約27%の精度向上が確認された.