2020 年 76 巻 2 号 p. I_331-I_336
2004年スマトラ島沖地震津波はインド洋全域に伝播し,多くの国の沿岸部に津波被害をもたらした.本研究では,数値計算により広域の津波痕跡記録を説明可能な波源モデルを検討するとともに,断層の破壊伝播特性の沿岸津波水位に与える影響を検討した.既往研究で提案された波源モデルを改良し,かつ最適な破壊伝播速度を設定した場合に良好な再現性が得られた.波源の近傍地域では,破壊伝播速度の大きさによる痕跡高に対する計算水位のばらつき(幾何標準偏差κ)の変化は小さい.遠方地域では比較的遅い破壊伝播速度(0.7~1.0km/s)を設定した場合のみ,ばらつきが小さくなった.そのため,巨大津波の広域の痕跡高の再現および予測精度確保には,津波計算上の適切な破壊伝播特性の考慮が重要である.