2020 年 76 巻 2 号 p. I_685-I_690
陸上に設置した漂流物が遡上波先端部により漂流し被衝突体に衝突させる水理実験を行い,先に被衝突体に衝突した遡上波先端部でのクッション機能による漂流物の衝突速度の低減効果を調べた.水平床の端に被衝突体として壁体を設置し,水塊の厚さに影響を及ぼすよう漂流物の初期条件を異なる条件下で実施し,水塊の厚さが大きくなる要因を追究した.また,遡上波と壁体により反射した水塊が混在する条件下で,水塊が衝突確率・衝突速度に与える影響を検討した.その結果,「反射した水塊による漂流速度の低減率」と「反射波厚さ」から衝突速度を評価可能にした.また,数値シミュレーションを用い算定手法の妥当性を示し,壁体直前の反射波中における漂流速度低減の理論式を用いて,本条件下において衝突速度を定量的に評価可能であることを示した.