2020 年 76 巻 2 号 p. I_943-I_948
海草場の変化を捉えるモニタリング方法として環境DNAの活用を目指し,海草量の季節変化に伴うeDNA量の変化を把握することを目的に,水槽に生育するアマモを対象に15ヵ月の生育観察と環境DNA分析を実施した.また,実海域でのモニタリングに向けて,潮汐による流れの変化がある環境下で,季節変化の差に対して採水地点や同時刻に採水した差がどの程度であるのか調査した.15ヵ月のモニタリングでは,環境DNA量が夏に高い値を示し秋に低下する周期性を確認でき,海草が流出する時期に高くなる可能性が明らかになった.実海域調査では,同時刻に採水した1Lの分析で検出の有無が混在する結果となったが,採水量や分析量を増量し,阻害影響を低減することで定量下限を超えた値の検出が可能となり,実海域調査への適応が期待できる結果を得られた.