学士課程教育の質保証に関して,学修成果の内容的側面に注目した場合,日本の大学生の1割弱が専門分野「その他」を修めて卒業する現状は,検討に値する。そこで本研究では,専門分野別統計の根拠である学科系統分類表について歴史と国際比較の視点から検討した上で,同じ名称であるにも関わらず異なる大分類に併存する学科の例として「国際学科」に注目し,大分類「その他」の学科が他の大分類には整理されない理由を分析した。学科系統分類表の検討により,同表の抜本的な改訂が長らく行われておらず,大分類「その他」の存続は国際的に見て異例であることが判明した。また国際学科の事例分析により,学科の属する大分類は,カリキュラムに関わる特徴よりも設置年との関連が強いことを明らかにした。本研究の知見からは,学科系統分類表に依拠した現行の専門分野別統計には課題があり,その解決は学士課程教育の質保証を促す一助となり得ることが示唆された。