海の研究
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総説
造礁サンゴの栄養塩利用と生態生理学的影響
田中 泰章
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2012 年 21 巻 4 号 p. 101-117

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抄録

サンゴ礁は貧栄養海域に発達する生態系であるが,隣接する陸域から栄養塩の流入を受けるケースは多く,特に土地開発などに伴う人為的栄養塩負荷の増加によって,サンゴ礁の富栄養化が長年に渡って懸念されている。造礁サンゴは共生する褐虫藻とともに貧栄養海水に上手く適応してきたが,栄養塩濃度の増加は褐虫藻の増殖を促し,面積当たりの光合成速度を増加させることが多くの先行研究で報告されてきた。その一方で,最も注目されるサンゴの成長(石灰化)速度への影響については,実験的に設定される栄養塩濃度によって異なる応答を示すことが示唆されている。本総説では,造礁サンゴ-褐虫藻共生体による栄養塩の吸収同化過程を各種栄養塩ごとに解説し,サンゴと褐虫藻の役割や栄養塩吸収速度に影響を与える要因をまとめる。さらに陸域からの栄養塩流入という観点から,栄養塩吸収に伴う宿主と褐虫藻の生態生理学的応答に関する知見を整理し,今後の研究の方向性を述べる。

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© 2012 日本海洋学会
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