海の研究
Online ISSN : 2186-3105
Print ISSN : 0916-8362
ISSN-L : 0916-8362
総説
海洋学の10 年展望2021:沿岸域
木田 新一郎 栗原 晴子大林 由美子川合 美千代近藤 能子西岡 純
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 30 巻 5 号 p. 87-104

詳細
抄録

沿岸域において,今後10 年程度の期間で取り組むべき研究の方向性と意義,そしてその遂行に必要な研究基盤について論じた。沿岸域は外洋域と陸域を結びつける,フィルターかつリアクターとしての役割をもつ海域であると同時に,人間社会に身近であり,多様で生産性豊かな海域である。沿岸域の物質循環を理解し,将来にわたってその豊かな生態系を維持していくためには,物理・化学・生物が分野横断的に連結し,組織立ったプロセス研究を進める必要がある。変化の時空間規模が小さい沿岸域の現象を把握するには,観測データが依然として不足している。しかし,これまでの長期モニタリングデータに加えて新たな観測機器の開発,衛星観測の高解像度化,ドローンの登場によって状況は大きく前進しつつある。この現状をふまえて,今後必要と考える研究基盤と数値モデルの展望を議論した。

著者関連情報
© 日本海洋学会, 2021年
前の記事 次の記事
feedback
Top