抄録
北太平洋および東支那海海水中のプルトニウム同位体 (239Puおよび238Pu), トリウム同位体 (232Th, 230Thおよび228Th) およびプロトアクチニウム-231含量を測定した. これらの諸核種を大量の海水から水酸化鉄共沈により濃縮したのち, 溶媒抽出法で逐次分離, 精製を行ない, α-線波高分析法により定量した. 海水の239Pu含量は0.6~1.6pCi/1000lであり, 238Pu/239Pu放射能比は0.2~0.7であった. 228Thと232Thとの間には著しい放射壊変の非平衡がみられ, 228Th/232Th比が65にも達する非常に高い値がみられる.231Pa含量は親の235Uとの平衡量の6%以下である. 現生さんごのプルトニウム同位体の分析を行ない, プルトニウム同位体が付近海水に比し現生さんごに1~2×103倍濃縮していることを明らかにした.