日本海洋学会誌
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海面の冷却と淡水の流入による熱塩前線の形成
遠藤 昌宏
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1977 年 33 巻 1 号 p. 6-15

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抄録

海面の冷却と淡水の流入によって生じる熱塩前線の性質を数値的に調べる. 回転しない鉛直2次元の面内で考える. 小規模の対流混合過程は「対流調節」を行うことによって表現される.
深さ50mの陸棚上の海域と深さ150mの沖合海域との間にきわだった熱容量の差を生む急斜面の存在によって, 温度前線とこれにともなう2つの細胞状構造を持つ循環が発達する.
淡水の流入 (塩分の流出でおきかえる) により, 上で述べた熱循環と逆向きの塩分循環が生じる. 塩分循環により沿岸の低温・低塩分の水が沖合に輸送され, 熱循環によって沖合から運ばれる高温・高塩分の水との間に熱塩前線が生じる. この前線では, これを横切る方向に密度が極大になっていて, 海面で収束, 海底で発散する水平流が存在する. 海面の冷却や塩分の流出を急に断った場合の前線の時間変動も調べた.

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