日本海洋学会誌
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33 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 中村 清, 長屋 裕
    1977 年 33 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 1977/02/28
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    福井県浦底湾およびその周辺海域について, 原子力発電所由来の60Coの海底堆積物への蓄積を検討した.
    海底堆積物の粒度別分画中の放射性核種の濃度分布からみて, 人工放射性核種60Co, 137Csおよび54Mnは, 主として海水中における粒子表面への吸着過程を通じて海底堆積物中に蓄積されることがわかった.
    浦底湾附近の海底堆積物の60Co汚染に関して約13km2の水域を想定すると, 浦底湾は面積においては約7%をしめるに過ぎないが, 汚染の60%を保持していると考えられる. 尚, 浦底湾の外に設けた測定点における60Co/137Cs比の増加傾向からみて, 湾内の60Co汚染は徐々にその外側に拡大していることがわかった.
  • 遠藤 昌宏
    1977 年 33 巻 1 号 p. 6-15
    発行日: 1977/02/28
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    海面の冷却と淡水の流入によって生じる熱塩前線の性質を数値的に調べる. 回転しない鉛直2次元の面内で考える. 小規模の対流混合過程は「対流調節」を行うことによって表現される.
    深さ50mの陸棚上の海域と深さ150mの沖合海域との間にきわだった熱容量の差を生む急斜面の存在によって, 温度前線とこれにともなう2つの細胞状構造を持つ循環が発達する.
    淡水の流入 (塩分の流出でおきかえる) により, 上で述べた熱循環と逆向きの塩分循環が生じる. 塩分循環により沿岸の低温・低塩分の水が沖合に輸送され, 熱循環によって沖合から運ばれる高温・高塩分の水との間に熱塩前線が生じる. この前線では, これを横切る方向に密度が極大になっていて, 海面で収束, 海底で発散する水平流が存在する. 海面の冷却や塩分の流出を急に断った場合の前線の時間変動も調べた.
  • Jae Min HYUN
    1977 年 33 巻 1 号 p. 16-22
    発行日: 1977/02/28
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    著者の近似計算法 (HYUN, 1976) を用いて, 北極海と大西洋の深海における2つの典型的なVäisälä frequency profileについて, 内部波の分散関係を研究した. この結果はmatrix numerical methodの結果とよく一致していた. 温度躍層をもつ典型的なVäisälä frequency profileについて計算を行なうことにより, 変わり点の特性を考慮しないふつうのWKB法によってえられた分散曲線の誤差のみつもりを行なった.
  • 杉村 行勇, 鈴木 款
    1977 年 33 巻 1 号 p. 23-29
    発行日: 1977/02/28
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    海水中のセレンのけい光分析法および, 全セレン, Se (IV) およびSe (VI) の新らしい分離法について述べる. セレンは, Se-DAN錯体をシクロヘキサンに抽出したのち, けい光分析法によって定量する. けい光分析の前処理として, 全セレンは, 還元共沈法を用い, 海水から濃縮分離する. Se (IV) は, 試料水中でSe (IV)-DDTCを形成させ, この錯体をXAD樹脂に吸着させることによって分離する. Se (VI) は, Se (IV) を除いたXAD樹脂通過液を用い, 全セレンと同様に, 還元共沈によって捕集する. この分析法の平均回収率は, Se (IV) について, 92.5±1.3%, 全セレンについて97.4士0.9%であり, 分析結果の標準偏差は, 10%以下である.
  • 遠藤 昌宏
    1977 年 33 巻 1 号 p. 30-37
    発行日: 1977/02/28
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    沿岸湧昇域の鉛直断面内における循環の双渦構造を示して, その形成に果たす密度場の役割を明らかにするため簡単な2次元模型を用いて数値計算を行った. 海底地形の変化や, 潜流を生むと考えられる沿岸に平行な方向の圧力場の変化は考慮されていない.
    主要な結果は次のようにまとめられる.(1) 双渦構造は, 湧昇にともなう密度躍層の傾きによって生じる内部摩擦層の存在と密接に関連している.(2) 密度躍層が海面に上がることより生じたフロントは, エクマン輸送により漸次, 沖合へ流される.(3) フロントは小規模対流のためほぼ鉛直である. エクマンの輸送流はこのフロントで一部収束, 下降し, 薪たな循環を形成する.(4) 渦粘性係数が小さい場合や風の強い時は, エクマンの輸送流が不安定になり, フロントは多細胞構造をとる.
  • 山口 征矢, 関 文威
    1977 年 33 巻 1 号 p. 38-44
    発行日: 1977/02/28
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    富栄養化の進んだ下田湾において, 湾内より湾外の黒潮反流域に至る6点で, ATP, 蛋白質, RNA, DNA, クロロフィルα, 全細菌数, 懸濁態有機炭素及び粗繊維の鉛直分布を調べた. クロロフィルα量および全細菌数は, 表層水中と稲沢川河口域で高く, ATPの分布とは必ずしも一致しなかった. これに対して, ATP, RNA, DNAおよび蛋白質はおおむね同じ分布様式を示した.
    これら生体物質の測定値をもとに, 培養微生物で得られた変換係数を用いて, 海水中の微生物現存量を算出し, 各推定値間の比較を行った. 各推定値はおおむね同じオーダーであり, 特にRNAおよびDNAに基づく推定値はATPに基づく推定値とよい相関を示し, 富栄養化の進行した水域では核酸類を用いても一応微生物現存量の推定が可能である事が示された. ただし, この場合変換係数についてはさらに詳細な検討が必要である.
  • E. J. W. JONES, M. C. KENNARD, 岡田 博有
    1977 年 33 巻 1 号 p. 45-46
    発行日: 1977/02/28
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    重力式およびピストン式柱状採泥器によりプラスチック管内に採取したコアの縦断分割に便利な装置を考案した. これは鋼鉄製ナイフでプラスチック管を切りながら, 鋼鉄線でコアを分割するようになっている (Figs.1, 2). この装置は十分固結していない堆積物について, 初生堆積構造を乱すことなくスムーズにコアを分割することができる (Photo 1).
  • 中村 重久
    1977 年 33 巻 1 号 p. 47-53
    発行日: 1977/02/28
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    By a model bay with a mouth and a narrow, an experiment on long period waves is carried out to discuss the behavior of the tsunamis and storm surges. Emphasis is placed on the analysis of the characteristics of the current velocities associated with the long period waves incoming through the mouth in terms of Ursell's parameter.
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