日本海洋学会誌
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外洋海水柱における有機塩素化合物の鉛直輸送と滞留時間
田辺 信介立川 涼
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1983 年 39 巻 2 号 p. 53-62

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抄録
西部太平洋, 東部インド洋, 南極海における有機塩素化合物の鉛直分布および表層水中における存在状態をもとに, これら物質の外洋海水柱における鉛直輸送について考察した.
PCB, DDT化合物, HCH (BHC) 異性体などの有機塩素化合物は, 5000mの深層海水中にも存在し, 表層から下層まで広く分布していることが明らかとなった. PCBとDDT化合物の鉛直分布は比較的均質であったが, HCH異性体は深度とともに濃度が減少した. 表層水中における各物質の存在状態には明らかな差が認められ, PCBとDDT化合物は相対的に吸着態として存在する割合が多いが, HCH異性体はほとんどが溶存態として存在していた. このことは, PCBやDDT化合物は沈降粒子により表層から下層へ急速に輸送されていることを, 一方HCH異性体は表層からの除去がかなり遅いことを示唆している.
吸着態として存在する有機塩素化合物の割合は, 高緯度の海域ほど増大する傾向が認められ, 海水柱における有機塩素化合物の滞留時間は, 海洋の一次生産速度と関連性のあることが推測された. 本研究により得られた実測値をもとに, 生物生産層 (表層100m) における有機塩素化合物の滞留時間を見積ると, 北西太平洋貧栄養海域のΣHCHで得られた5~10年が最も長く, 南極海富栄養海域のΣDDTで得られた11~19日が最も短い値であった.
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