海の研究
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小網代湾湾央部における酸素及び窒素化合物の水 : 推積物界面での濃度プロファイルと水 : 推積物間のフラックス
左山 幹雄嶋村 茂中根 徹
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2001 年 10 巻 6 号 p. 509-529

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抄録

小網代湾湾央部において, 未撹乱推積物コアを現場条件下で培養する方法により, 水-推積物間の酸素と窒素化合物のフラックス(全フラックス)を2月, 4月, 8月及び11月の4回測定した。同時に, 界面近傍における酸素と窒素化合物の濃度プロファイルを測定し, 濃度勾配と分子拡散係数からフラックス(拡散フラックス)を計算した。堆積物表面0~5mm層の有機物含量は, 4月に一時的な増加が見られた。酸素の全フラックスの向きは年間を通して上層水から堆積物に取り込まれており, 春から夏にかけて増加する明瞭な季節変化を示したが, 有機物含量の季節変化とは対応しておらず, 温度と有意な正の相関を示した。アンモニア態窒素の全フラックスの向きは年間を通して堆積物から溶出しており, 酸素の全フラックスと同様の季節変化を示したが, 有機物含量や温度との相関はなかった。全フラックスと拡散フラックスの比較から, 水-堆積物間の酸素やアンモニア態窒素の輸送過程として, 年間を通して分子拡散が重要であると考えられた。また, 酸素とアンモニア態窒素の全フラックスの比から, 堆積物中で無機化されている有機物のC/N比として5.2という値が推定された。

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© 日本海洋学会
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