2001年から2002年にかけて, 伊豆小笠原弧上の水曜海山カルデラ内の海底熱水域において, 物理・化学・地質環境の変動の長期観測を行ない, それらの変動が熱水系地下生物圏に与える影響について総合的な調査研究を行なった。海底熱水系の物理環境パラメータの時間変動モニタリングを行なうために, Medusa型熱水流速計・小型熱流量プローブ・座布団型熱流量計・湧出量計などを用い, 水曜海山カルデラ内の掘削孔などにおいて, 熱水活動の熱水の流速と温度や海底における水温を観測した。その結果, 低温熱水湧出部においては, 熱水の流速・熱水温度・海底における水温の変動は, いずれも底層流に支配されており, 基本的には12時間の周期性をもっていることが明らかになった。一方, 掘削坑から湧出する熱水は, 流速が一日・半日周期で変動していることが推測された。これは, 熱水溜まりの潮汐に対する応答を反映している可能性がある。