化学工学論文集
Online ISSN : 1349-9203
Print ISSN : 0386-216X
ISSN-L : 0386-216X
[特集] 液相系における構造形成と機能化
熱力学的不安定状態にある液々界面を通しての物質移動が誘起する界面物性の非線形的振動
塩井 章久阿部 智行熊谷 浩人薄葉 岳近藤 聡
著者情報
ジャーナル 認証あり

2001 年 27 巻 6 号 p. 690-695

詳細
抄録

液々界面で界面活性剤が吸・脱着しながら二液相間を移動するとき,界面活性剤を吸着した界面が熱力学的に不安定ならば,界面組成(界面活性剤吸着量)がどのような時間変動を示し得るかを理論的に計算し,油水界面で界面張力が非線形的振動を示す実験系での観測結果と比較した.モデルは次のとおりである.第1液相から界面活性剤Aが界面に吸着し,第2液相にある化学種Mと反応,別の界面活性剤Bとなる.A,Bの一様な混合状態はスピノーダル領域にあり,時間依存型Ginzburg-Landauの式で表されるスピノーダル分解を発生する.形成されたA-richなドメインはMと反応しBを生成するが,B-richなドメインからは,Bが分子集団を作って脱着する.得られた界面組成の時間変動と実験で観測された界面張力の振動とは,よく似た統計的性質を示した.

著者関連情報
© 2001 公益社団法人 化学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top