抄録
セルラーオートマトンを利用して, 新しい大規模粒子法シミュレーションを開発した. オートマトンルールは粒子の移動ルールと粒子間相互作用ルールとから成る. さらに粒子間相互作用ルールは, 衝突ルール, 静的接触ルールと衝撃力伝達ルールの三つのルールから成っている. 本シミュレーション法で重要である粒子間相互作用ルールは, 粒子要素法による粉体重力流動のシミュレーションから得られた粒子間相互作用力にもとづいて定量的に導いた. オートマトンシミュレーションの1ステップ相当時間を定義することによって粉体現象の時間発展のシミュレーションが可能になり, それにより流動過程における刻々の状態量を得ることができる. 本シミュレーションで得られる流動模様, 粒子間接触力分布や速度分布を実験値と比較し, 本シミュレーションの妥当性を確認した. 本シミュレーション法は, 実際の粉体現象の直接シミュレーション法としての可能性を持っている.