日本皮膚科学会雑誌
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エクリン汗腺癌の1例―免疫組織化学的診断を中心に―
東 一紀亀山 孝一郎衛藤 光神崎 保
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1987 年 97 巻 2 号 p. 109-

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抄録
65歳男性の右手掌小指球に生じたエクリン汗腺癌の1例を報告した.臨床的には,表面易出血性で淡紅色弾性軟,ドーム状に隆起する腫瘤であった.組織学的には,真皮内に異型性の強い腫瘍細胞が増殖し,免疫組織化学的検索にて,抗デスモゾーム抗体,抗ケラチン抗体,抗エクリン汗腺抗体陽性所見を得た.抗CEA抗体,抗S100蛋白抗体,抗メラノーマ抗体,抗リンパ球抗体は陰性であった.酵素組織化学的には,コハク酸脱水素酵素陽性.電顕的には,多数のデスモゾームと比較的少ないトノフィラメント,細胞間に微絨毛を伴う管腔形成を認めた.以上の検索より,本例をエクリン汗管の深部または分泌部に由来する腫瘍と診断した.
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© 1987 日本皮膚科学会
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