化学工学論文集
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粉粒体工学
離散要素法と直接数値計算法を用いる粒子群干渉沈降挙動のハイブリッドシミュレーション
西浦 泰介下坂 厚子白川 善幸日高 重助
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2006 年 32 巻 4 号 p. 331-340

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抄録

流体流れを計算する直接数値計算法と粒子挙動を計算する離散要素法を連成した大規模シミュレーションを行い,粒子群干渉沈降挙動に及ぼす粒子濃度と粒子径分布の影響を検討した.大規模シミュレーションは地球シミュレータを用いて行い,最大で10万個の粒子数から成る粒子径分布を有する多粒子群を扱うことが可能である.まず,シミュレーションモデルの信頼性を確認するために均一粒径粒子群の干渉沈降現象についてシミュレーションを行った.粒子濃度の増加にともない粒子の沈降により誘起される上昇流の速度が増加して流体抵抗力が大きくなるために粒子沈降速度は減少した.シミュレーションで得られた粒子濃度と粒子沈降速度の関係は実験結果ともよく一致した.
次に,二成分粒径粒子群の干渉沈降現象について粒子沈降速度に及ぼす二成分の粒径比と体積割合の影響をシミュレーションにより検討した.大粒子の体積割合および粒径比が増加するにつれて上昇流体の速度が増加するために二成分ともに粒子沈降速度は減少した.また,層流域では流体抵抗力に比べて粒子間接触力はきわめて小さいために干渉沈降現象に及ぼす粒子間衝突の影響は無視しうることが明らかになった.

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© 2006 公益社団法人 化学工学会
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