2006 年 32 巻 4 号 p. 348-351
ピリジン-2,6-ジカルボン酸(PDCA)を用いて多孔質ガラス粉(43–74 μm)の充填カラムによるニッケルとクロムの分離実験を298 Kで行った.0.02 MのPDCA溶離液をpH 1–4の範囲で使用すると,ニッケルが吸着されないまま移動相液体とともに流出し,またクロムの保持体積がpH 2付近で極大であった.二種の金属がpH 1.3–1.7およびpH 2.5–3.7の領域においてイソクラティックにかつ完全に分離した.0.15–3.0 cm3/minの速度範囲で二種の金属の保持体積が変化しないため,送液速度を上げることにより分離時間の短縮が可能であり,溶離液として0.02 M PDCA(pH 1.5)を使用すると10分,また0.03 M PDCA(pH 3.0)を使用すると13分で分離が終了した.