化学工学論文集
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分離工学
高濃度原液対応の凍結濃縮装置
手塚 正博白土 博康井上 稔康白木 勝美佐藤 努岩崎 達也
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2007 年 33 巻 2 号 p. 130-134

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抄録

本研究は,主に処理原液の溶質濃度が1 wt%以上の凍結濃縮装置において数時間・数日間単位の断続的運転が可能,原液処理量当たりの装置コストが低い,さらに濃縮液への溶質回収率の高い装置を開発することを目的とする.研究の装置は,以下の氷生成部と分離部から構成されている.氷生成部は,冷却された回転ドラムを用い原液から濃縮倍率の大きい濃縮液を含む非流動混合物(原氷)を連続的に生成する.また,分離部は,自動均し機,自動高精度掻き取り機,自動分離氷排出および高速回転の組み合わせからなるバスケット型遠心分離器としている.デモ実験の結果,原液の溶質濃度1.0–3.4 wt%(海水)において,1サイクル処理で濃縮液の溶質濃度が2.2–10.2 wt%(濃縮倍率2.2–3.6倍)となり,溶質回収率は0.80–0.94であった.なお,実験の装置は,分離器バスケットの開口率の改善などにより溶質回収率の改善が可能と考えられた.

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© 2007 公益社団法人 化学工学会
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