マイクロ空間では輸送物性のバランス変化によって混合,伝熱などが促進される.マイクロ空間で期待される混合には迅速混合と精緻な拡散混合の2種類がある.ここでは,マイクロ流体セグメントという概念を提案,導入し,この2種類の混合それぞれに関してマイクロ空間利用のコンセプトを示すとともに,それを制御するために必要な新しい工学への定量的な扱いについて概説する.まず,迅速混合ではマイクロミキサーの設計が必須であるため,マイクロ混合の論理を整理して設計し,操作のための指針を示すとともに,ナノ材料製造装置としての有用性を示した.また,反応機構に基づいた反応システム設計による中間活性種を厳密に制御した新しい有機合成法への可能性を示した.一方,精緻拡散混合では,設計されたマイクロ空間における反応基剤の精密な拡散による微粒子径の厳密な制御を実験的に示すとともに,マイクロ流体セグメント配置によって,複合反応の選択率を制御する操作論を示した.以上の知見をもとに,マイクロ流体セグメントに立脚した新反応工学として,セグメント形状を考慮した設計法の概要を示し,プロセス強化ツールとしてのマイクロ空間利用の精緻化学工学体系のベクトルを示した.